大腸がんの治療:開腹手術

内視鏡や腹腔鏡手術もさかんに行われるようになりましたが,大腸がんではリンパ節への転移が見られることが多く,現在でも大腸がんではリンパ節廓清のしやすい開腹手術が主流です。
 
 大腸がんの根治手術は転移からの発症を防ぐため病巣から約10cmくらい離れたところまでを切除し,腸管に近い1群のリンパ節だけでなく2群,~3群までのリンパ節を廓清し,腸管を縫合する方法が一般的です。また結腸がんの場合このような方法でも,手術後の機能障害はほとんど起こりません。

 直腸がんの根治手術は進行がんの場合,多くの問題を克服しなければなりません。それは直腸の周囲には,膀胱や尿道,前立腺,子宮,膣などの泌尿器,生殖器などがあり,さらに肛門など重要な器官があるからです。

 直腸がんの根治手術は,大きくわけて2種類あります。その一つは直腸とともに肛門も切除し,S状結腸に人工肛門(ストーマ)をつくる方法であり,もう一つは肛門括約筋を残して,直腸を切除し,腸管を縫合して肛門をそのまま機能させる括約筋温存直腸切除術です。

 現在では直腸がんの手術で約70%が肛門が温存され,下部の直腸がんでも約50%が温存されるようになってきています。

 さらに最近では泌尿器や生殖器の機能に関係する自律神経を温存させる手術も確立し,術後のQOLの低下を抑えることができるようになりました。

 これはがんの進行状態に応じて,個々の神経を見分け,自律神経をできるだけ残しながら病巣だけを切除していくというもので,この日本の直腸がん手術のレベルは世界最高水準にあるといわれています。

 しかし,病期が3期以降では骨盤内臓器全摘出手術が行われることもあり,この場合,排尿機能や性機能は温存できなくなります。


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