大腸がんの治療:腹腔鏡手術

早期がんでも,内視鏡的治療が困難な大きながんには腹腔鏡手術が行われます。また最近では進行がんでも腹腔鏡手術が行われるようになりました。この方法は開腹手術に比べ,患者の負担が少ないというメリットがあります。

 しかし,進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるかどうかは評価が定まらず,現在,国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が実施されています。

 今後,患者への負担の少ない腹腔鏡手術はその適応範囲が拡大されると予想され,腹腔鏡手術を行う病院も増加しています。

 開腹手術と比較した場合,痛み止めは開腹手術が平均して3~5日に対し,腹腔鏡は2~3日ですみます。また退院までの日数は開腹手術が10日前後に対して,腹腔鏡は1週間前後といわれています。

 確かに,このように患者の負担が少ないことは事実ですが,高度なリンパ節郭清は技術が要求されるだけでなく,腹腔鏡手術は歴史が浅いため,病院や医師によっては経験が不足している点も否定できません。

 日本内視鏡外科学会の調査では,2006年からの2年間で大腸がんの腹腔鏡手術で縫合不全や出血などが原因で11人が死亡したと報告しています。

 したがって,腹腔鏡手術を受ける際には,その医療機関の実績などをよく調査しておくいことも必要でしょう。


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