大腸がんの検査で代表的なのは近年各市町村で普及推進されている便潜血検査です。
便のなかに血液がまざっていないかを調べるもので大腸がんの決定的な発見と確定には乏しいですが、健常者の中から可能性のある方を第一段階として選別するには有効な検査です。
この検査に引っ掛かったからといってがんが確定するわけではなく、また異常が見られなかったからといって安心できるものではありません。
実際大腸がんの患者さんの3割程度がのこ検査によって発見に至ったケース・実績があります。
大腸がんでは、血管が豊富な腫瘍から、また腫瘍の一部に潰瘍ができてその潰瘍から出血する場合があります。このような場合、排便時にその部分がこすられて、便に血液が混入します。この便中に混じったわずかな血液を検出するのが、便潜血検査です。
便潜血検査では、血液中に存在するヘモグロビンというタンパク質を検出します。ヘモグロビンは、高い温度の中や、時間がたつにつれて、壊れてしまうという不安定な性質を持っています。このため、正確な検査結果を得るために、採取した便はできるだけ早く専用の容器に入れて冷蔵庫などの冷暗所に保管し、2日分の便を取ったら早めに提出する必要があります。また、血液は便の中に均一に混じっているわけではありません。専用のスティックで便の表面のあちこちをまんべんなく少しずつこすり取ることで、より正確な結果が得られます。
この検査法が陽性だったからといって、必ず大腸がんがあるとは限りません。大腸がん以外の疾患(良性潰瘍や炎症など)でも出血が認められる場合があるからです。また、歯茎など口の中の出血にも反応する場合があります。肉類や魚類など、ヘモグロビンを豊富に含む食事を摂っていた場合にも偽陽性となることがあります。
大腸がんの検査:便潜血検査


大腸がんの検査:注腸造影検査


注腸造影検査は、大腸内にある便を下剤などを用い取り去ったあと、肛門からバリウムを注入してさらに空気を入れて大腸を膨張させ、そしてレントゲン撮影をする方法です。
簡単そうな検査方法ですが、大腸にたまった便を取り除くのはけっこう大変で、前日から食物繊維の少ない食事にして、さらに検査前には浣腸をする必要があります。
注腸造影検査では、がんやポリープの他にも炎症や病変の大きさや位置などが確認できます。他の検査方法と違い大腸全体を一目で見ることができますし、バリウムを飲むので病変の見逃しも少ないようです。
一方でデメリットもあります。空気を大腸内に入れることで腹部が張ったり、検査終了後にはバリウムを排出しなければならないので再度下剤を服用しなければならなかったりと、患者さんの負担も大きくなってしまいます。
最近では内視鏡検査の技術が進歩しているため、この注腸造影検査はほとんど行われなくなりました。この検査を受ける人は貧血や出血のために内視鏡検査を受けることができない場合だそうです。
妊娠中の人はエックス線による被爆がある恐れがあるので必ず避けるようにしています。
大腸がんの検査:血液検査


大腸がんであるか詳しく調べる前に、一般的に初めに行われる検査が血液検査です。多くの情報を得れると同時に患者さんの負担も軽いというメリットがあります。
血液検査では、赤血球が沈む速度、白血球の数、CRP(炎症により増えるタンパクの一種)などから、体内で炎症が起こっていないかを確認します。またクローン病や潰瘍性大腸炎などの病気がないかなどもチェックできます。
そしてヘモグロビン・赤血球・ヘマトクリットを調べることで貧血かどうかが分かります。中でも横行結腸や上行結腸などの肛門から遠くにできた大腸がんでは、貧血を発見のきっかけになることも少なくありません。
下記は血液検査でチェックする項目です。
・心筋梗塞の恐れがないか。
・腸が炎症を起こしていないか。
・膵臓が炎症を起こしていないか。
・肝臓が炎症を起こしていないか。
・感染症の恐れがあるか。
・糖尿病であるか。
・貧血であるか。
・がんの兆候があるか。
大腸がんの検査:視診・触診・指診


【視診】
視診では黄疸や貧血や脱水症状は起こっていないか、病気によって顔色が変わってないかなどを確認します。脱水症状があると目や唇が乾いていたりします。
【触診】
触診では体全体のむくみ、特に腹部の張りやしこりがないかを確認します。腹部にしこりがあればがんの可能性も高くなってきます。そして腸に張りがあるということは腸の中に空気が溜まっているということなので、肛門付近で何かが起こっていると考えられます。
【指診】
指診とは直腸指診とも言いますが、指にゴムサックをつけ肛門から指を入れ、そして肛門と直腸に異常がないかを確認する方法です。この方法は直腸がんの発見に非常に有効で、ほとんどの直腸がんを発見することができます。
そして指についた便の形状や血液で、痔と区別することもできます。検査時間は1~2分ですが、特に女性に直腸指診は抵抗があるようで、病院によっては女医が検査を行うところもあるようです。
大腸がんの検査:大腸内視鏡検査


大腸内視鏡検査とは肛門から内視鏡を入れて、モニターテレビで大腸内を状態を詳しく映し出す検査方法です。
これで大腸の粘膜に異常がないか、ポリープはできていないか、出血はないかなどを確認します。
内視鏡には全大腸をくまなく観察できる長いものから、S状結腸まで観察できる短いものまであります。
大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合は、検査器具の先端に装着している検査器具でポリープを切除することもできます。
切除したポリープは病理的検査で悪性腫瘍か良性腫瘍かを診断します。こうして検査と治療を同時に行えるという点が大腸内視鏡検査の大きなメリットです。
大腸内視鏡検査を行うときには、検査の前日から食事に気をつかう必要があり、なるべく消化の悪い野菜や果物などを食べないようにします。
検査の当日には下剤や大腸洗浄液を飲んで腸内の便をすべて出し切る必要があります。
大腸ガンの手術:内視鏡による手術


内視鏡的療法とは、内視鏡という長い管のようなものの先端にカメラや治療器具のついたものを使って行う治療法です。
肛門から内視鏡を挿入して、ガンの状態を確認しながら、がんを切除します。
内視鏡でガンを切除する代表的な方法は、「ポリペクトミー」と「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」の 2つです。
ポリペクトミーは、ポリープのような飛び出た形状のがんにスネアという金属製の輪をかけて、高周波電流を流して焼き切る方法です。
ンの大きさが 2cm以下で、大腸の粘膜層にとどまっている場合は、この方法で治療完了です。
早期ガンの多くはこのパターンです。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、ガンが平坦な場合に粘膜の下に生理食塩水などを注射してガンを持ち上げて、ポリペクトミーと同じ要領でガンを焼き切る方法です。
平坦で幅の広い病変に対しては、内視鏡的粘膜下剥離術(ESD / ないしきょうてき ねんまくか はくりじゅつ)という方法が開発されました。
これはEMRを発展させた方法で、今までのEMRと比較すると行う医師の高い技術が必要ですが、現在ではESDの方が一般的です。
大腸ガンの手術:外科療法


大腸がんの外科療法は、「局所切除」、「腹腔鏡下切除術」、「開腹手術」があります。がんの発生場所や進行具合などを考慮して手術方法が決定されます。
以前は、大腸の直腸(肛門に近い部分)のがんを手術する場合、肛門を切除して人工肛門にすることが普通でしたが、今では肛門括約筋を残せる方法で治療できる場合が多いので、排便機能に影響はありません。
がんの位置によっては難しい場合もあります。
大腸がんの局所手術
局所手術とは、肛門の方からがんを切除する手術で、肛門近くの直腸下部にできた早期がん(大きい粘膜内のがんと粘膜下層のがん)に対して行われます。
局所手術には、肛門の括約筋を切らない「経肛門的局所切除術」と、括約筋を切ってガンを切除して、括約筋を縫い合わせる「経括約筋的局所切除術」があります。
大腸がんの腹腔鏡下切除術
腹腔鏡下切除術とは、腹部に 2mmから数cm程度の穴を数カ所開けて、そこから内視鏡や専用の器具を挿入して行う手術方法です。
お腹を切って手術する開腹手術よりも、手術後の回復が早いというメリットがありますが、開腹手術より技術も必要で手術時間が長いというデメリットもあります。
大腸がんの開腹手術
お腹を切り開いて手術する方法です。進行がんの場合はこの開腹手術が基本となります。
大腸ガンの治療:化学療法と放射線治療


大腸がんの化学療法(抗がん剤治療)
大腸がんで化学療法(抗がん剤治療)を行う目的
・進行がんの手術の後に再発の予防として補助的に行う
・手術ができないほど進行したがんや再発したがんに対する
延命や、生活の質を向上させることを目的として行う。
大腸がんで使われる抗がん剤は、「フルオロウラシル+ホリナートカルシウム」、「イリノテカン」、「オキサリプラチン」などや、免疫賦活薬と抗がん剤の併用、さらに新生血管阻害薬なども試されています。
新生血管阻害薬とは、がんに勝手に血管をつくらせないようにする薬です。
がんは血液から栄養を得るために、正常な血管から勝手に細い血管をつくり、さらに細胞分裂を繰り返して増えていこうとします。
この薬により、がんが血管を作ることをじゃまして、栄養をとらせないようにし、がんの増殖を防ぐというものです。
大腸がんの放射線治療
大腸がんの放射線療法を行う目的は、以下の 2つの場合です。
・手術ができる場合でのがんの再発をおさえて手術前のがん
を縮小させたり、肛門の温存手術への補助的な治療です。
・切除がむずかしい場合に、がんによる痛みや出血などの症状
をやわらげたり、延命のための治療です。
結腸がんの生存率


stage 0 (ステージ0で癌が粘膜の中だけにとどまっている極めて早期の癌です)
5年生存率、8年生存率ともに100%
stage 1 (ステージ1で比較的早期の癌や中期の癌です)
5年生存率は100%、8年生存率は96.4%
stage 2 (ステージ2で、進行癌ですが、リンパ節転移が無いものです)
5年生存率は94%、8年生存率は87%
stage 3 (ステージ3のかなり進行した癌で、リンパ節転移が有るものです)
5年生存率は76.3%、8年生存率は61.4%
stage 4 (ステージ4で、肝臓、肺、腹膜、遠隔のリンパ節にまで転移があるものです)
5年生存率、8年生存率ともに15.1%
直腸がんの生存率


stage 0 :(ステージ0で癌が粘膜の中だけにとどまっている極めて早期の癌です)
5年生存率は100%、 8年生存率も100%
stage 1 : (ステージ1で比較的早期の癌や中期の癌です)
5年生存率は98.2%、 8年生存率は95.7%
stage 2 : (ステージ2で、進行癌ですが、リンパ節転移が無いものです)
5年生存率は83.8%、 8年生存率は71.3%
stage 3 : (ステージ3のかなり進行した癌で、リンパ節転移が有るものです)
5年生存率は67.9%、 8年生存率は59.4%
stage 4 : (ステージ4で、肝臓、肺、腹膜、遠隔のリンパ節にまで転移があるものです)
5年生存率は16.2%、 8年生存率は10.8%
結腸がんの症状


大腸がんはがんの出来る部位によって結腸がんと直腸がんに分けられます。
結腸がんとは結腸部分に出来る大腸がんのことを指しますが結腸とは腸の大きなエス字よりも上の部分になります。
比較的初期症状が発見されにくいと言われています。
結腸がんでは出血が起こった場合も排泄されるまでに時間が掛かりますから、真っ赤な血としては現われません。
便が黒っぽく変色しているのですが、普段から便を観察しておかないとなかなか気が付くことは出来ないのです。
がんそのものが大きくなれば、お腹にしこりを感じるようになると言われています。
がんが大きくなってくると、今まで影響の少なかった排便にも影響を及ぼします。
便秘と下痢を繰り返していたり、常にお腹が張っています。
また最終的には出血を起こしたりするようになります。
この出血は誰にでも分かる異変ですが、多くの方は安易に痔であると自己判断してしまうのです。
便の異常だけでは大腸がんであるのか痔なのかを判断する事はできません。
結腸がんは初期症状が少なく、分かりにくいため進行してしまうことが多いのです。
はっきりとした出血などのサインも見逃してしまわないようにして置くことが必要です。
大腸がんの検査:便潜血反応検査・直腸指診・肛門直腸鏡検査


大腸がんの検査方法は複数あり、組み合わせて大腸がんであるのか判断します。
最初に行われる事が多いのが便潜血反応検査です。
便の中に血が含まれているかどうかを調べる検査になります。
便を容器に入れ、検査して貰うことが可能で、痔の場合も陽性になることは多いですが、目には見えない血を探すのには非常に有効な検査です。
直腸指診とは手袋をはめた医師が、直腸に指を入れることで異常が無いかチェックするものです。
内部の様子を触診する事で固くなっている部分やしこりはないか確認するのです。
直腸指診は医療技術が進歩した今でも信頼のおける検査方法の一つです。
肛門直腸鏡検査は血便や直腸指診で何らかの異常があった場合に行うことが多いです。
肛門直腸鏡検査は大腸内視鏡の登場によって利用される頻度はすくなくなったものの直腸の異常を見るためには重要なものです。
筒状の鏡を肛門から挿入し直腸を観察します。
長さ20センチなので苦しいと感じることもありますが循環剤を用います。
大腸がんの検査でポリープや潰瘍を見つけることも珍しくは無く、症状を感じている場合は原因をはっきりさせて置くことが大切です。
大腸がんの検査:注腸造影検査・大腸内視鏡検査


注腸造影検査は前日に下剤を飲み、腸を空にする必要があります。造影検査を行いますから、造影剤を腸内に入れる必要があります。これにより腸の形をはっきりとさせることが出来るのです。
造影剤として肛門からバリウムを注入し、その後空気を注入し腸を膨らませ、腸内にバリウムを行き渡らせます。
これでエックス線を用いて撮影を行い、下剤を飲みバリウムを排泄して終了になります。
大腸内視鏡検査では肛門から機械を挿入し、異変をみていくと言うものになります。
大腸内の観察が目的ですから、本来痛みはありません。
肛門から異物を挿入するので違和感やお腹の中を触られている不快感を覚えることはあります。
苦痛を感じることのある検査ではありますが、この検査を行うことではじめてしっかりとした状態を見ることが出来るのです。
注腸造影検査で異常があった場合には、このような検査を行うことで何が原因だったのか知る必要があるのです。
現在では以前に比べ痛みや不快感が減るように痛み止めのジェルなどが用意されています。
内視鏡そのものが細くなったこともあり、比較的受けやすくなったともいえるでしょう。
大腸がんの検査では内視鏡は避けて通ることが出来ませんから、不安な気持ちが強いでしょう。
実際に内視鏡の検査は10分程度と短くなっています。
大腸がんの検査:CT検査・MRI検査・超音波検査


大腸検査は複数の検査を併用する事が一般的です。
CT検査やMRI検査を行うことで大腸を調べることもあります。
CT検査とは身体の断面図を調べる事が出来るようになっています。
MRI検査もCT検査と同じように横になっているだけで終わり、痛みを感じる事の無い検査です。
内視鏡検査と併用して行われることが多く、大腸の検査の場合CT検査やMRI検査だけで検査が終了する事はありません。
超音波検査は大腸がんが見つかった場合、或いはポリープが見つかった場合に利用されることが多いです。
大腸がんが全身に転移していないか調べるための検査で、大腸そのものを調べる検査ではありません。
大腸がんは肝臓に転移しやすいと言われており、肝臓に転移するとリンパを経由し全身に広がってしまうことがあります。
超音波検査では全身にがんが転移していないか調べることが出来るため、比較的簡単に検査する事が可能です。
手術後にも経過を観察するために用いられることがあります。
時間が掛かりますががんの早期発見は時間には代えられない大切なものですから、しっかり検査を受けましょう。
大腸がんの検査:内視鏡手術


リンパにがんが転移している恐れの無い場合には内視鏡手術という手術方法を用いることがあります。
早期発見されたガンの場合は内視鏡手術を行いますが、この早期発見とは粘膜または粘膜下層にとどまるがんのことです。
初期のがんであれば、内視鏡手術を行うことが出来ます。
内視鏡手術ではがんの形状にもよりますが入院の必要はない場合がほとんどです。
小さな隆起のがんを焼き取ってしまうという簡単な手術になります。
この時切り取ったがんを調べその後の手術が必要なのか判断されることになります。
切り口にガンがみつからなければ手術は終了で、この時にがんが見つからなかった場合、その後ガンが進行していたと言うケースはほとんどありません。
初期の大腸がんの手術で内視鏡手術を行うのは、現在では当然の事なのです。
しかし少しでも異常が見つかれば根治手術を行います。
根治手術では内視鏡での手術では無く一般的に切開して行われることになります。
内視鏡手術とは一体どのような方法なのか考えてみましょう。
通常の手術ではお腹を20センチ程度切ってしまうことになります。
しかしながら、内視鏡手術では3ミリから12ミリ程度の切開で済みます。
細かい作業ですがモニターを見ながら手術を行いますので患者の体への負担は本当に少ないものになるのです。
内視鏡手術は初期の段階でのみ利用出来る方法なのです。
異常を感じたら早めに病院に行くことによってがんの早期発見につながります。
大腸がんの手術:腹腔鏡手術


腹腔鏡手術の腹腔鏡とはお腹の中に鏡を入れたという意味で、テレビカメラでお腹の中を見ながら行う手術の事です。
腹腔鏡手術は切開手術より小さな傷で手術が出来、大きく身体を開くより体力的にも安心できます。
大腸がんの腹腔鏡手術は2005年から行われていますが、この時にはステージ0から1のごく初期段階の大腸がんに限られていました。
2009年からその規制が無くなりステージに関係なく腹腔鏡手術が行えるようになりました。
2009年に規制が無くなってから進行したがんにも腹腔鏡手術が行われるようになりましたが患者の体力や回復力を考えると非常に好ましい手術だと言えます。
切開手術に比べ技術力が劣るのではないかという心配もありますが、アメリカでは既に多くのデータから差異が無いことが証明されています。
現在では多くの大腸がんの手術で腹腔鏡手術が用いられています。
腹腔鏡手術では医師の経験が大きくなってきますが、傷口が狭いための利点のほかにどのような利点があるでしょうか。
大腸がん、とくに直腸がんの手術では排尿に関する障害や性機能障害が起こることがあります。
カメラは6倍に拡大されて映りますから神経も大きく映ります。
神経に対する注意も比較的スムーズになりす。
自然肛門と人工肛門


直腸がんの場合は自然肛門に人工肛門を増設することがあります。
自然肛門とは健康な状態の人が便を排泄している肛門のことを指します。
肛門とだけ呼ばれる部分のことで、人工肛門ではそれとは別に肛門を設けます。
人工肛門とはストーマと呼ばれるようになってきました。
がんと肛門括約筋が近い場所にある場合にはがんが潜んでいる可能性も考えて切除しますから肛門を残しておくことが出来ませんので、人工的な肛門を増設する必要が出てくるのです。
肛門括約筋が無ければ肛門を開けたり閉じたりすることが出来なくなりますから、肛門の形が残っていても便を排泄する機能として肛門は利用できなくなるのです。
人工肛門は自然肛門の場所に出来るばけではありませんから、増設という言葉を用います。
へその斜め下に用いられるのが一般的です。
人工肛門に括約筋はありませんから自然肛門のように便やおならを我慢したりすることはできません。
そのため便やおならがいつ出るのかは分からないと言ったデメリットがあります。
ですから人工肛門には受け皿を用意して置く必要があるのです。
新しい排便の習慣になれるのは大変ですが、人工肛門があることによって食事を行うことが出来るのです。
人工肛門を付けていても日常生活は通常通り行うことが出来、スポーツも行えますし、温泉に入浴することも可能です。
ただし自然肛門とは違いケアが必要になりますから障害者手帳を貰うことが出来、ケアに掛かる費用も少なくなります。
大腸がんの検査:便潜血検査


大腸がんの検査で代表的なのは近年各市町村で普及推進されている便潜血検査です。
便のなかに血液がまざっていないかを調べるもので大腸がんの決定的な発見と確定には乏しいですが、健常者の中から可能性のある方を第一段階として選別するには有効な検査です。
この検査に引っ掛かったからといってがんが確定するわけではなく、また異常が見られなかったからといって安心できるものではありません。
実際大腸がんの患者さんの3割程度がのこ検査によって発見に至ったケース・実績があります。
大腸がんでは、血管が豊富な腫瘍から、また腫瘍の一部に潰瘍ができてその潰瘍から出血する場合があります。このような場合、排便時にその部分がこすられて、便に血液が混入します。この便中に混じったわずかな血液を検出するのが、便潜血検査です。
便潜血検査では、血液中に存在するヘモグロビンというタンパク質を検出します。ヘモグロビンは、高い温度の中や、時間がたつにつれて、壊れてしまうという不安定な性質を持っています。このため、正確な検査結果を得るために、採取した便はできるだけ早く専用の容器に入れて冷蔵庫などの冷暗所に保管し、2日分の便を取ったら早めに提出する必要があります。また、血液は便の中に均一に混じっているわけではありません。専用のスティックで便の表面のあちこちをまんべんなく少しずつこすり取ることで、より正確な結果が得られます。
この検査法が陽性だったからといって、必ず大腸がんがあるとは限りません。大腸がん以外の疾患(良性潰瘍や炎症など)でも出血が認められる場合があるからです。また、歯茎など口の中の出血にも反応する場合があります。肉類や魚類など、ヘモグロビンを豊富に含む食事を摂っていた場合にも偽陽性となることがあります。
大腸がんの検査:注腸造影検査


注腸造影検査は、大腸内にある便を下剤などを用い取り去ったあと、肛門からバリウムを注入してさらに空気を入れて大腸を膨張させ、そしてレントゲン撮影をする方法です。
簡単そうな検査方法ですが、大腸にたまった便を取り除くのはけっこう大変で、前日から食物繊維の少ない食事にして、さらに検査前には浣腸をする必要があります。
注腸造影検査では、がんやポリープの他にも炎症や病変の大きさや位置などが確認できます。他の検査方法と違い大腸全体を一目で見ることができますし、バリウムを飲むので病変の見逃しも少ないようです。
一方でデメリットもあります。空気を大腸内に入れることで腹部が張ったり、検査終了後にはバリウムを排出しなければならないので再度下剤を服用しなければならなかったりと、患者さんの負担も大きくなってしまいます。
最近では内視鏡検査の技術が進歩しているため、この注腸造影検査はほとんど行われなくなりました。この検査を受ける人は貧血や出血のために内視鏡検査を受けることができない場合だそうです。
妊娠中の人はエックス線による被爆がある恐れがあるので必ず避けるようにしています。
大腸がんの検査:血液検査


大腸がんであるか詳しく調べる前に、一般的に初めに行われる検査が血液検査です。多くの情報を得れると同時に患者さんの負担も軽いというメリットがあります。
血液検査では、赤血球が沈む速度、白血球の数、CRP(炎症により増えるタンパクの一種)などから、体内で炎症が起こっていないかを確認します。またクローン病や潰瘍性大腸炎などの病気がないかなどもチェックできます。
そしてヘモグロビン・赤血球・ヘマトクリットを調べることで貧血かどうかが分かります。中でも横行結腸や上行結腸などの肛門から遠くにできた大腸がんでは、貧血を発見のきっかけになることも少なくありません。
下記は血液検査でチェックする項目です。
・心筋梗塞の恐れがないか。
・腸が炎症を起こしていないか。
・膵臓が炎症を起こしていないか。
・肝臓が炎症を起こしていないか。
・感染症の恐れがあるか。
・糖尿病であるか。
・貧血であるか。
・がんの兆候があるか。
大腸がんの検査:視診・触診・指診


【視診】
視診では黄疸や貧血や脱水症状は起こっていないか、病気によって顔色が変わってないかなどを確認します。脱水症状があると目や唇が乾いていたりします。
【触診】
触診では体全体のむくみ、特に腹部の張りやしこりがないかを確認します。腹部にしこりがあればがんの可能性も高くなってきます。そして腸に張りがあるということは腸の中に空気が溜まっているということなので、肛門付近で何かが起こっていると考えられます。
【指診】
指診とは直腸指診とも言いますが、指にゴムサックをつけ肛門から指を入れ、そして肛門と直腸に異常がないかを確認する方法です。この方法は直腸がんの発見に非常に有効で、ほとんどの直腸がんを発見することができます。
そして指についた便の形状や血液で、痔と区別することもできます。検査時間は1~2分ですが、特に女性に直腸指診は抵抗があるようで、病院によっては女医が検査を行うところもあるようです。
直腸がんの初期症状


大腸には結腸と直腸があり、直腸にできる癌を直腸がんといいます。
、
肛門から結腸までの間を直腸といいます。
大腸というのは結腸と直腸を合わせて呼んでいますが、どちらにも癌は発生します。
大腸カメラでの検査でよく見つかるポリープですが、ポリープはこの直腸に出来やすく、ポリープが癌化して直腸がんになることが多いです。
便潜血検査ではこの直腸のポリープなどによる潜血もよく見つかりますので、便潜血検査を定期的に受けておくことはポリープが直腸がんになってしまう前に取り除くきっかけにもなりますのでやはり検査を受けることは重要です。
盲腸・上行結腸、横行結腸に発生するがんの症状


盲腸がんや上行結腸がん、横行結腸がんが発生しても腸内の内容物は液状の為、腸閉塞や便の通過障害を起こしにくく、一般にはがんが進行してから症状が現れます。
腹痛や腹部の不快感(腹部膨満感)などが多く見られるほか、固いしこりが触れることもあります。
血便に気が付くことも少ないのですが、腫瘍からの出血が続くことで貧血になって気がつくことも多くなります。

下行結腸がん・S状結腸がんの症状


左側結腸がんでは右側結腸がんよりも自覚症状がはっきりしているので、発見は早い傾向があります。
左側結腸では腸の内容物(便)が固型となっているのでがんからの出血があると血便を認めることが多くなります。
また、がんによって腸が細くなると便の通過障害や腸閉塞、便秘と下痢を繰り返す便通異常などの症状が現れることがあります。

大腸がんの予防と危険因子について


大腸がんは、様々なことが原因となって発生すると言われていますが、動物性脂肪の摂り過ぎなどは、発がん物質などにより、大腸の粘膜が更にさらされてしまう危険性が高くなり、癌になりやすい環境となります。
欧米化した食生活が浸透している日本では、動物性脂肪の増加にともなっていることが大腸がん増加の原因に一役かっています。その他の危険因子では、お酒の飲みすぎ、過度なストレス、肥満症なども深く関係しています。
大腸にできるがんの凡そ6割程度がS状結晶と直腸になります。便が長時間、組織と接触しているカ所、便の中の発がん物質の刺激が関係しています。
大腸がんを予防するには、特に普段の食生活を改善していくことが大切になります。腸内環境を整える為、食物繊維の適度な摂取と緑黄色野菜なども多めにとって、活性酸素対策をシッカリととることです。
腸内環境に良いからと言って、食物繊維を多量にとっても大腸がんの予防にあまり関係ないようです。便秘は大敵なので、避ける為にも規則正しい、食習慣や運動習慣を生活の中に取りいれることも必要です。
割合は、少ないですが、遺伝的な要因で、発症することもあります。大腸組織の広い範囲にわたって、ポリープになるもので、そのままにしておくと癌化する割合が高くなります。
大腸がんと肥満の関係について


大腸がんは、肥満の人で凡そ1.5倍多くなりやすいようです。肥満は糖尿病や動脈硬化にかかる危険度が高いですが、特に男性の場合は、大腸がんになりやすいといった事も厚生労働省の疫学調査で解明されています。
肥満指数が25未満と比較して、大腸がんの危険度は、27~29の1.4倍、30以上の場合は、1.5倍となっています。肥満傾向の人は、インスリンの分泌が多く、がん細胞が、増えやすくなる傾向があることもわかりました。
ここ数年、日本でも大腸がんにかかる人が急増していますが、日本人も欧米人のように肥満になる人が増えてきましたが、急増の原因を肥満と特定することはできず、国立がんセンターでは「他の危険因子も探る必要がある」としています。
欧米諸国では、高身長も大腸がんの危険度を上げると考えられているようですが、日本人は身長での差はなく、女性では肥満指数、身長などの関連は、ハッキリとしていません。
又、毎日よく歩く人ほど大腸がんの死亡率が減るというデータもでています。肥満と癌の予防には、特に運動として、毎日ウォーキングを行う習慣がお勧めです。
大腸がんが増えている背景には、ファーストフードやコンビニエンスストアが登場して、これにより食生活の欧米化が定着したことによります。又、穀類や野菜に含まれる繊維質の量が減っている事もがんの増加に大きく関係しています。
大腸がんの予防で必要なのは、日本人の各家庭に浸透している、肥満を招きやすい欧米化した食事について反省し、伝統的な和食を基本にして、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を積極的に補っていく食生活が必要です。

大腸がんを予防する食事


和食が良いとか、野菜や果物をたくさん取ることで大腸がんの予防になると言われてますが、実はそれほど効果が認められているわけではありません。
実際はまったく効果がなくはないのですが、直接大腸がんに作用するということではなくバランスの良い食事には当然体調を整えて免疫力を高め結果として大腸がんも予防するということはもちろん大いにありますが、直接的に大腸がんに効果があるといったことではないようです。
しかし、便秘を解消する食物繊維は水溶性のものも含めて大腸がん予防には貢献してくれるようです。厳密に言えば食物繊維や野菜・果物の摂取で予防するということより、これらの食物を食べないひとはやはり、大腸がんになりやすいのです。
わかりにくいと思いますが、摂取しないことでバランスを崩したり、便秘になり通常より危険因子が高まるといった関係です。ですので結果的にやはり食物繊維やバランスの良い食事は大腸がんの予防に貢献してくれるといえます。

大腸がんの原因「食生活」


大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが食生活と言われています。
近年の食生活の欧米化が原因であると指摘がありますが、なぜ欧米化の食事が大腸がんになりやすい傾向があるかといえば、食物繊維不足による便秘が上げられます。
便が長い時間腸内に留まることは大腸に負担がかかりいわゆる、腸内環境も悪化してきます。
日本の女性のガン死亡の1位が胃がんから大腸がんになったことからもその傾向がうかがえます。
脂肪を消化するとき、胆汁の分泌が増えると、腸内で細菌が胆汁酸を分解するときに発がん性物質ができるといわれます。
大腸がんの原因「酒とたばこ」


酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになります。
酒を飲むと顔が赤くなる、気分が悪くなる、頭痛がする、などの原因物質です。
さアセトアルデヒドが分解される際に出る活性酸素によって、細胞の中の核酸(DNA)を作るのに必要な葉酸という物質が壊されてしまいます。
これによってDNAの合成や傷ついたDNAの修復がうまく行かず、がんになるとも考えられています。
たばこの煙には、多くの発がん性物質が多く含まれています。
たばこを吸っていると、たばこの煙が触れる「のど」や気管、肺以外に、直接触れない大腸の粘膜からも発がん性物質が検出されます。これによってがんが発生しやすくなると考えられています。
大腸がんの原因「遺伝」


大腸がんも遺伝によるリスクが認められてます。
祖父母、両親、兄弟姉妹、子どもに大腸がんの患者がいる場合は、いない人よりも大腸がんにかかる率が高くなります。
大腸がん患者の5~7%には、同一家系内に大腸がんの患者がいます。
大腸がんのなかでも”家族性大腸腺腫症”とよばれる病気がもとになって発病するものは、遺伝が原因です。
大腸に少なくとも100個以上の腺腫(ポリープ)が発生する病気で、幼児期に腺腫ができはじめ、思春期を過ぎる頃から大腸がんを合併します。
放置すると大腸がんのために死亡することになるので、大腸がんが発生する前に、大腸をすべて取り去る手術をしなければなりません。
他に大腸がんになりやすいケースは、潰瘍性大腸炎にかかったことのある人、子宮がんに対して下腹部に放射線照射治療を受けたことのある人などです。
大腸がんの原因「運動不足」


運動不足の人は大腸がんになりやすいのは確実なようです。加えて内臓脂肪の多い人はリスクが高くなります。
内臓脂肪が増えると動脈硬化やガン発生を抑制するアディポネクチンの生成をしにくくなって、そこに肉食がさらに重なると上皮細胞を脂や肉を食べた際などに発生する発がん物質に攻撃されて、上皮細胞の遺伝子が傷つき、ガン化するのです。
逆に運動することで内臓脂肪が少なくなりアディポネクチンが活発に生成され、さらに運動によって腸の動きが活発になり、便の便通時間が早くなるので発がん物質や胆汁酸と腸壁が接触する時間が短くなり、その結果がんの発生率が低下するといった考えがあります。
大腸がんセルフチェック


□幸いものが好きである。
□野菜はあまり食べない。
□早食いの習慣がある。
□酒はほとんど毎日飲む。
□食事の時間が不規則である。
□魚より肉類が好きでよく食べる。
□食事のバランスはあまり気にしない。
□タバコを吸っている。
□ストレスがたまっている。
□大腸の検査は受けたことが無い。
□運動はほとんどしない。
□睡眠不足など不規則な日常生活をしている。
□便の形がばらばらである。
□便が黒っぽく感じる。
□便秘がちである。
8個以上当てはまった方は要注意です。

大腸がんと年齢・性別


大腸がんは年齢・性別の違いで、発生率の違いはあるんでしょうか。
大腸がん全体の男女の比率では、男性1.6:女性1.0と、男性の方が多く発症しています。
大腸がんのうちの、直腸がんは男性に多いですが、結腸がんは女性に多いです。
男性だけで見てみると、大腸がんは胃がんに次いで第2位になっています。
女性の場合は、大腸がんはがんのなかでも第1位です。
女性も、男性も、がん全体でみると大腸がんの発生率は高いです。
また、年齢別に見ると、大腸がんは男女ともに、60歳代の方の発症率が高くなっています。
次に、70歳代、50歳代と続きますが、年齢が高くなるにつれて、大腸がんの発症率も高くなっています。
大腸がんの大きな原因のひとつは食生活といわれています。高齢者より若い人たちの方が、脂肪分の多い生活をしているともいえます。

大腸がんとポリープの違い


ポリープと大腸がんの違いは何でしょうか。
ポリープが悪化すると、必ずがんになると思っている人も多いかと思いますが、ポリープはすべてが大腸がんになるわけではありません。
ポリープは大きく分けて、炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、腺腫性ポリープの3種類があります。
炎症性ポリープは、腸の中で炎症をおこす病気(大腸炎など)が、治るときに粘膜が隆起して起こるものです。
また、過形成性ポリープも粘膜の細胞が増えすぎてポリープ状になるもので、高齢者にも多くみられるようです。
なので、炎症性ポリープ、過形成性ポリープは大腸がんになる恐れはありません。
この中でがんになる恐れのあるポリープは、腺腫性ポリープです。
この腺腫性ポリープですが、ポリープの中では、1番できやすいポリープなんで、がんというイメージが
強いのかもしれません。
腺腫性ポリープにも、良性、悪性があります。悪性のものが、がんですが、良性でも、そのポリープの大きさが5ミリ以上になってしまうと、がんになってしまうかもしれません。
ポリープが、悪性のものと診断されても、ポリープ状だと、まだ早期の場合が多く、完治もしやすいです。
進行したがんは、ポリープの形ではなくなってしまいます。

大腸がんの検査方法「便潜血検査」


便潜血検査というのは、大腸がんや大腸ポリープ等による出血を見つけるために実施される検査です。
痔による出血などでも陽性反応が出ますし、早期の大腸がんでは出血が見られない場合も多いことから、早期大腸がんを確実に発見する決め手となる検査とは言い切れず、確実な診断は大腸内視鏡検査をはじめとする精密検査を受ける必要があります。
ただ実際問題として、検査費用や身体への負担も少なからず生じることなどから、定期的に大腸内視鏡検査を行っている人は少ないですし、便潜血検査を受診することによって大腸がんの死亡率が減少しているという統計結果もあることから、まずは便潜血検査を定期的に受診するのが最善策であると言えます。
大腸がんの検査方法「腫瘍マーカー検査」


腫瘍マーカー検査というのは、がん細胞が体内にある場合に増える物質の量を確認する検査で、一般的に大腸がんでは【CEA】と【CA19-9】と呼ばれる腫瘍マーカーが使われます。
腫瘍マーカー検査は、便潜血検査と同じように比較的簡単にできる検査のひとつなので、大腸がんのみならずさまざまな癌の検査方法として広く実施されています。
ただし、腫瘍マーカーは癌だけでなくその他の病気で増加する場合もあることや、早期がんなどでは腫瘍マーカーの数値が上がらないことも多いことなどから、腫瘍マーカー検査のみで癌の確定診断ができるとは限らず、あくまでも診断の補助材料として捉えておくのが良いと思われます。
大腸がんの検査方法「内視鏡検査」


大腸がん検査の内視鏡は、挿入する際、曲がった状態で押し込む時に痛みを感じます。
内視鏡を押し込むことになるため、時には苦痛を伴い、かなり長時間の検査になってしまう場合もあります。
内視鏡医であれば誰でもわかっていることですが、検査の痛みをなくすためには、挿入する時に大腸を直線化し、変な力が加わらないように挿入していくようにします。
しかし、実際は大腸の曲がり方や長さには個人差があるため、医師の経験と技術が大変重要になってきます。
また、腸の狭窄もチェックできます。
腫瘍などができたことにより、腸の細く狭くなっている部分がないかを調べます。
超音波検査というのもあります。
大腸がんが大腸壁のどの辺まで進行しているかとか、リンパ節へ転移していないかなどを調べる時に用いられます。
内視鏡の先端に超音波の探触子というものを取り付けて検査しますので、がんの小さな広がりもすべて分かるのです。
また、がん細胞が他の臓器へ転移しているかとか、骨盤内に広がっているかなどを調べるには、CTやMRなどの画像検査が必要です。
大腸内視鏡検査による大腸がんの検査費用


大腸内視鏡検査を行うには、どのくらいの費用がかかるかというと、病院や検査内容によっても違いがありますので、検査のみで何も問題がなければ大体保険適用の3割負担で7,500円くらいで可能です。
実際にはこの費用に加えて初診料や診察料などの費用もかかりますので実際には10,000円程度と考えておけばよいでしょう。
また、大腸内視鏡検査によりポリープなど腫瘍が見つかった場合、大きなものでなければ、その場で切除するのが良いと思いますが、その場合には追加でもう1万円くらいの費用負担となります。
特に、50代を過ぎるとポリープが見つかる確率は格段に高まりますので、基本的に大腸内視鏡検査時にはポリープが見つかることを想定しておいたほうがよいでしょう。
便潜血検査で陽性になって精密検査として大腸内視鏡検査を受診する場合にも、痔でなければ何かしら胃腸に炎症を起こしている場合が想定できますので、検査以外の費用がかかることを覚悟しておきましょう。
大腸がんとポリープ


大腸がんの内視鏡検査を行うと、ポリープが見つかることがあります。50歳代の人の半分は大腸内にポリープが見つかるといいます。
ポリープというのは、腸内にできる、腫れたコブで、それ自体が悪性であるものではありませんが、大腸がんは、ポリープが刺激などを受けて悪性化して発病するということが多いですので、基本的にはポリープが見つかった場合、その場で切除するのが一般的です。
日本人のガン患者の割合でも大腸がんというのは非常に多いことが知られていますので、40代、50代になったら定期的に内視鏡検査を受けてみたほうが良いです。
ポリープを取り除いておけば大腸がんを予防できますし、ポリープの組織を検査してガンが見つかったりした場合でも、早い段階で見つかると比較的大腸がんは完治しやすいと言います。
ポリープにガンが見つかったとしても小さなものであればリンパ節への転移の可能性も低く、そのときの除去で処置完了となる場合が多いです。
��年生存率も90%以上と大腸がんは転移を伴うステージに入っていなければ治りやすいガンと言えるでしょう。
大腸がんの手術 直腸がん


大腸がんの中でも、直腸がんについては、治療や手術には注意が必要です。
直腸は、骨盤内の深く狭いところにあるので、部位によっては、開腹手術であっても決して簡単に切除できるというわけではありません。
直腸の周囲には、子宮や卵巣、膀胱や前立腺などがあり、これらは自律神経という細い神経繊維によって、排便や排尿、性機能など日常生活を送るうえでは欠かすことが出来ない機能がコントロールされています。
大腸がんでも直腸にできたがんの手術をすると、少し前まではこれらの自律神経を傷つけてしまうことが多く、排便や排尿、性機能に大きな障害が残ってしまっていました。
最近では、自律神経温存術という自律神経をできる限り残しつつ、がん部分を取り除くという方法が用いられています。
直腸がん患者で自律神経温存術を行った人のうち、約8割以上の人が人工肛門を付けずに済んでいます。
男性の場合では、勃起機能や射精機能を残すことも可能となりました。
直腸がんの手術では、このように自律神経を温存出来るかが、その後の日常生活を左右する要因でもありますが、がんが自律神経のすぐ近くに出来てしまった場合など、自律神経を犠牲にしてでもがんを取り除かなければならないケースもあります。
直腸がんでも、早期発見・早期治療が出来た場合には、開腹手術ではなく、肛門と仙骨付近の皮膚や直腸を切開してがん部分にまでたどり着き、がんを取り除くという局所切除をいう方法を用いる場合もあります。
大腸がんの手術 進行がん


大腸がんが粘膜下層より外側の層に達しているものを進行がんと言います。
進行がんでは、開腹手術という治療方法がとられ、周囲にあるリンパ節も取り除きます。
大腸は大きく分けて、結腸と直腸があります。直腸は肛門に近い部分を指し、結腸はそれ以外の部分です。
結腸は、大腸がんの手術などで部分的に取り除いたとしても機能的にさほど影響はありません。
しかし、直腸の場合は、手術方法などによって、その後の生活の質がかなり変わってきますので、直腸の大腸がん手術をする場合は注意が必要です。
直腸のがん手術をするときは、経験豊富な専門医探しに努力を惜しまず、インターネットや雑誌、書籍、口コミなどあらゆる手を尽くしましょう。
進行がんの治療方法で、最近では、開腹手術の代わりに腹腔鏡という特殊な器具を使った腹腔鏡下手術という方法も用いられるようになっています。
腹腔鏡は内視鏡の一種で、患者のお腹に複数の穴を開け、そこから内視鏡を入れて手術を行うという方法です。
内視鏡の先端には、小型のカメラが取り付けられていて、それが映し出す映像をモニターで見ながら医師が手術を行います。
進行した大腸がんの手術としては、開腹手術に比べ傷跡が小さくてすみ、術後の痛みも少なく、入院期間も短くてすむなど、患者さんの負担はかなり軽くなるというメリットがあります。
大腸がんの手術 早期がん


大腸がんの治療は、基本的に手術によってがんの部分を切除するという方法が用いられます。
また、大腸がん手術の具体的な方法については、がんの進行の程度や、がんが出来た場所などによって変わってきます。
大腸がんの進行程度については、大腸の壁のどの部分にまでがんが拡がっているか、という点で判断されます。
大腸の壁の構造は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜(しょうまく)という順で形成されています。
大腸がんは、一番内側の粘膜にでき、次第に外側へと拡がっていきますガ、大腸がんが粘膜、または粘膜下層までにとどまっているものを早期がんと言います。
早期がんの段階であれば、がん部分の切除によって9割以上の確率で治るといわれています。
粘膜までにとどまっているがんであれば、ほぼ100パーセント治るとも言われています。
早期がんの中でも、粘膜までにがんがとどまっていて、がんの直径が2センチ以内であれば、内視鏡による切除によって治療を行うことが可能です。
内視鏡での治療であれば、大腸がん検査時にそのまますぐ治療をすることができますので、患者さんの肉体的な負担が比較的軽いというメリットがあります。
大腸内視鏡検査について


大腸がんの検査では、まず、便潜血反応検査などでその可能性を検査します。
陽性の結果が出た場合、また、大腸がんや大腸ポリープの疑いが強い症状がある場合など、大腸がんや大腸ポリープである可能性が高いと疑われる場合には、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。
大腸内視鏡検査は、肛門から大腸内に内視鏡を入れ、大腸の中の様子を観察するというものです。
内視鏡の先端にはカメラが取り付けられていますので、そのカメラが捕らえる映像がモニターに映し出されます。
この大腸内視鏡検査なら、大腸がんや大腸ポリープが合った場合、すぐに発見することが出来ます。
最近では、ポリープの種類や、がんであるかどうかをより詳しく判別するため、内視鏡の管から色素を入れる検査方法を採用するケースもあります。
大腸内にポリープを発見し、その大きさからがん化の疑いが強い場合や、初期段階のがんが発見された場合などは、その場でがんやポリープの切除をします。
突起していないポリープの場合は、ポリープの下に生理食塩水を注射し、病巣を持ち上げるようにしてからループ状のワイヤで引っ掛けるようにして取り除きます。
大腸内にポリープが何個も発見された場合、数個程度であればその場で器具を何度か出し入れして切除してしまいます。
ポリープの数が多い場合は、大腸がんになりそうなものをまず取り除いてしまい、その後、残りのポリープを数回に分けて取り除くのが一般的です。
そして、切除したポリープは良性か、それとも悪性のがんであるか、詳しい検査をします。
ポリープが良性だった場合は、3年間は大腸内視鏡検査を受けなくても大丈夫でしょう。
最近の医療機関では、大腸内視鏡検査をする場合、軽い麻酔をかけるのが一般化しています。
大腸ポリープとは


大腸ポリープとは、大腸の粘膜から大腸の内側の内腔に向かって突き出したイボのようなもののことです。
大腸ポリープは、腫瘍性のものと非腫瘍性のものに大きく分類することが出来ます。
大腸ポリープの約8割は腫瘍性ポリープです。
腫瘍性ポリープ自体は良性なのですが、将来的にがんになってしまう可能性もありますので注意が必要です。
非腫瘍性ポリープの場合は、がんになる恐れはありません。腫瘍性ポリープは、4つのタイプに分類することができ、がんになる可能性もそれぞれ違ってきます。
表面隆起型は、大腸の粘膜から少し盛り上がっているような形をしています。
表面陥凹型は、表面隆起型とは逆に、大腸の粘膜から少しへこんでいます。
表面型のポリープは、がんになる可能性が高く、早期の治療が必要です。
真ん中がへこんでいる表面陥凹型の場合は、他臓器に転移しやすいので注意が必要です。
表面隆凹型のポリープの場合は、たとえ小さなものでも発見次第、すぐに治療することが大切です。
有茎型ノタイプは、きのこのような形状で、大腸の粘膜から盛り上がっているものです。
この有茎型の大腸ポリープは、直径1センチ以上のものは大腸がんになりやすいと言われていて、すぐに治療が必要です。5ミリ未満の大きさでは、がん化しているということはほとんどありませんので、様子をみることもあります。
無茎型のタイプは、大腸の粘膜からドーム状に盛り上がっています。この無茎型のポリープは、有茎型と比較するとがんになる可能性が高くなります。
無茎型の場合は、大きさは特に関係ありませんので、発見したらすぐに治療する必要があります。
一方、非腫瘍性のポリープは3タイプに分類することが出来ます。
一つ目は若年性ポリープで、幼児、小児の直腸に出来やすく、出血しやすいという特徴があります。
二つ目は、炎症性ポリープと言い、一般的に大腸炎が治る過程で出来るポリープです。
三つ目は、過形成性ポリープといい、加齢が原因で出来るポリープです。なので、高齢者に多くみられます。
大腸ポリープ:症状の現れ方


小さなポリープは無症状のものがほとんどですが、ポリープが大きくなると血便が起こります。
ポリープの大きさや存在部位によって、便に鮮血が付着する場合と、肉眼的には異常を認めず、
便潜血テスト陽性で初めて血便に気づく場合があります。とくに、非腫瘍性の若年性ポリープは出血しやすいのが特徴です。
大腸ポリープ:検査と診断


検診の目的で受けた便潜血テストが陽性の患者に対しては、大腸内視鏡検査または注腸造影X線検査が行われます。
どちらの方法でも診断は可能ですが、最近は、ポリープ発見時ただちに組織検査(鉗子(かんし)を使った生検法あるいは高周波発生装置を使ったポリープ切除術・粘膜切除術)が可能である大腸内視鏡検査のほうが優先される傾向にあります。
ポリープの性状診断は、顕微鏡を使った病理組織学的検査で確定されます。最近では、鉗子生検診断を待つまでもなく、70倍の拡大機能をもつ内視鏡(拡大内視鏡検査)や、特定波長の光で観察する内視鏡(NBI内視鏡検査)によって、ポリープ表面の細かい模様を観察するだけで即座に性状診断が行えるようになってきました。
大腸ポリープ:治療の方法


腫瘍性ポリープである腺腫は、前がん病変と考えられるので、内視鏡を使って切除します。
有茎性(粘膜面から茎をもって発育している形態)であれば内視鏡的ポリペクトミー(ポリープ切除術)、無茎性であれば内視鏡的粘膜切除術(EMR、コラム)が行われます。
これらの方法によってポリープ全体を組織学的に検査することが可能になり、診断と治療の両方を兼ねることができます。
腺腫のなかでも、カーペット状の形態をした大きな無茎隆起は結節集簇様病変と呼ばれ、分割切除によるEMRが行われます。
このような大きな病変を一括して切除するために、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD、コラム)や、腹腔鏡を用いた手術が行われることもあります。
近年、ポリープと形が異なり、平坦なあるいは、わずかに陥凹した腺腫が数多く発見されています。
この病変はEMRによって治療されますが、ポリープの形をした腺腫よりも一般的に悪性度が高いため、これを見落とさないように注意することが大切です。
非腫瘍性ポリープは通常がん化することはないので、積極的に切除する必要はありません。しかし、有茎性で大きなポリープは出血や腸重積を起こす可能性があるので、内視鏡的ポリペクトミーを行います。
大腸がんの治療:内視鏡手術


がんが粘膜下層まで浸潤しておらず,リンパ節への転移がないものは早期がんに分類されこの場合約60%が内視鏡手術で治療できます。
現在では早期がんは適切な治療を施せば100%治癒すると言われています。早期がんと診断されるのは大腸がんと診断される人の20~30%です。
大腸早期がんで20mmまでのポリープ状のものは大腸ファイバースコープを入れ,スネアというリング状の器具でポリープを締め上げ,高周波電流で焼き切るポリペクトミーと呼ばれる治療が一般的です。
また扁平なポリープには生理食塩水を注射し患部を浮き上がらせてスネアで締め上げ焼き切るストリップバイオプシーと呼ばれる治療法もあります。
大腸がんの治療:腹腔鏡手術


早期がんでも,内視鏡的治療が困難な大きながんには腹腔鏡手術が行われます。また最近では進行がんでも腹腔鏡手術が行われるようになりました。この方法は開腹手術に比べ,患者の負担が少ないというメリットがあります。
しかし,進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるかどうかは評価が定まらず,現在,国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が実施されています。
今後,患者への負担の少ない腹腔鏡手術はその適応範囲が拡大されると予想され,腹腔鏡手術を行う病院も増加しています。
開腹手術と比較した場合,痛み止めは開腹手術が平均して3~5日に対し,腹腔鏡は2~3日ですみます。また退院までの日数は開腹手術が10日前後に対して,腹腔鏡は1週間前後といわれています。
確かに,このように患者の負担が少ないことは事実ですが,高度なリンパ節郭清は技術が要求されるだけでなく,腹腔鏡手術は歴史が浅いため,病院や医師によっては経験が不足している点も否定できません。
日本内視鏡外科学会の調査では,2006年からの2年間で大腸がんの腹腔鏡手術で縫合不全や出血などが原因で11人が死亡したと報告しています。
したがって,腹腔鏡手術を受ける際には,その医療機関の実績などをよく調査しておくいことも必要でしょう。
大腸がんの治療:開腹手術


内視鏡や腹腔鏡手術もさかんに行われるようになりましたが,大腸がんではリンパ節への転移が見られることが多く,現在でも大腸がんではリンパ節廓清のしやすい開腹手術が主流です。
大腸がんの根治手術は転移からの発症を防ぐため病巣から約10cmくらい離れたところまでを切除し,腸管に近い1群のリンパ節だけでなく2群,~3群までのリンパ節を廓清し,腸管を縫合する方法が一般的です。また結腸がんの場合このような方法でも,手術後の機能障害はほとんど起こりません。
直腸がんの根治手術は進行がんの場合,多くの問題を克服しなければなりません。それは直腸の周囲には,膀胱や尿道,前立腺,子宮,膣などの泌尿器,生殖器などがあり,さらに肛門など重要な器官があるからです。
直腸がんの根治手術は,大きくわけて2種類あります。その一つは直腸とともに肛門も切除し,S状結腸に人工肛門(ストーマ)をつくる方法であり,もう一つは肛門括約筋を残して,直腸を切除し,腸管を縫合して肛門をそのまま機能させる括約筋温存直腸切除術です。
現在では直腸がんの手術で約70%が肛門が温存され,下部の直腸がんでも約50%が温存されるようになってきています。
さらに最近では泌尿器や生殖器の機能に関係する自律神経を温存させる手術も確立し,術後のQOLの低下を抑えることができるようになりました。
これはがんの進行状態に応じて,個々の神経を見分け,自律神経をできるだけ残しながら病巣だけを切除していくというもので,この日本の直腸がん手術のレベルは世界最高水準にあるといわれています。
しかし,病期が3期以降では骨盤内臓器全摘出手術が行われることもあり,この場合,排尿機能や性機能は温存できなくなります。
大腸がん入院期間と治療費


大腸がんで入院する日にちと治療費については治療方法により異なります。初期段階の大腸がんで内視鏡で全てを完了した方は総額195,000円程度の負担で済みます。
健康保険を利用し負担額が2割の方ですと390,000円になります。 一方進行がんの方ですと40日程度の入院が必要になり費用は総額200万円程度かかります。
��割負担の方ですと60万円程度になります。 仮にこの金額が自費になった場合物凄い金額になることはいうまでもありません。
入院費用をなるべく抑える為には定期的な検診を受け、大腸がんを早期発見し、早期の治療をすることが最も費用を抑える方法と言われております。
日数 金額 保険2割 保険3割 保険5割
早期大腸がん 26日 120万 98万 85万 60万
進行大腸がん 45日 200万 160万 140万 100万
早期大腸がん 70日 200万 150万 130万 100万

大腸がんの治療費用


大腸がんの治療費用は手術や放射線療法、抗がん剤といったものや期間、部位によって異なります。
20日の入院を伴う結腸がん手術でおよそ100万円、直腸がんでは170万円ほどという例があります。
がん全体の平均的な治療費用はおよそ150万円とされていますので、大腸癌の場合にも1つの参考にはなるでしょう。
短期間で完治する早期の場合もあれば、症状が進行していて再発することもあります。個人差が大きいです。
主治医に大腸癌の治療費用を聞いておけば確かな情報が得られますので、早めに確認しておくとよいでしょう。
治療費用とがん保険
がん保険や生命保険に加入している場合には、料金のすべてを自己負担しなくても、保険金が支払われることで経済的な負担を軽減することができます。
保険の契約は複雑です。大腸癌の治療費用のうち、いくら程度の給付を受けることができるのか、そして支払いの時期はいつになるのかを確認しておく必要があります。こうした確認は、家族にしてもらってもよいでしょう。
高額療養費制度
治療費が高額になった場合には、高額療養費制度の活用を検討してください。所得や年齢によって定められた一定額を越えた場合に適用される制度ですので、高額といっても金額は患者さんによって異なります。
70歳未満の方で低所得者や上位所得者ではない一般に分類される場合には、1ヶ月あたりの自己負担限度額が80,100円に総医療費から26,700円を引いた金額の1%を加えたものになります。それ以上の金額については、払い戻しを受けることができます。
大腸がんになると治療費用の問題についても考えなくてはならなくなります。保険や高額療養費の制度を活用することで負担を軽くしてください。
大腸がんと痔の違い


痔の出血
じわじわと出血したり、便のまわりに血がつくことはありません。いぼ痔の場合は、排便時の便の通過によって排便直前に真っ赤な鮮血がパーッと出血するため、便器にポタポタと垂れたり、トイレットペーパーに血がついたりします。
大腸がんの出血
早期の大腸がんでは出血が少量であるため気付きにくいのですが、少しずつじわじわと出血し続けます。出血量が増えると便のまわりに血がつくようになります。
出血の状態はガンの発生場所によって異なり、直腸がんの場合は肛門に近いために血便が多くなるほか、ケチャップのような粘血便になることもあります。
結腸がんでは出血してから排便までに時間が経つので、便の色が黒っぽくなります。
大腸がんと似た症状:虚血性大腸炎


虚血性大腸炎とは腸の血流が低下して十分に栄養が届かなってしまい大腸の粘膜にむくみやただれ、潰瘍などができる病気です。このため突然の激しい腹痛や下痢、血便などが起こります。
虚血性大腸炎になると心臓に栄養を送る血管が細くなり血流が悪くなってしまう狭心症が起こります。
虚血性大腸炎はそのしくみと似てるため腸の狭心症と呼ばれることもあります。この病気のもっとも大きな原因は動脈硬化です。
大腸の周辺には大腸に栄養や酸素を運ぶ血管が張り巡らされています。この血管に動脈硬化が起きると血管が狭くなったり詰まったりして腸に十分な血液が送られなくなります。
すると腸の組織は酸素欠乏に陥り一部が壊死してびらんや潰瘍ができます。虚血性大腸炎は高齢者に多く見られますが、これは加齢とともに動脈硬化が進んでいるからです。
高血圧、糖尿病、高脂血症など動脈硬化の危険因子を抱かえている人はリスクが大きいです。また便秘も虚血性大腸炎の原因もひとつです。
便秘になると腸官は激しく運動して硬い便を押し出そうとします。大腸内の圧力が高まると腸官内の血管が伸びて細くなり血流が減少します。
その結果、腸官組織が酸素不足となり壊死することがあります。このため虚血性大腸炎は高齢者以外にも便秘しやすい若い女性などにもみられます。
虚血性大腸炎の症状
①数日で症状がおさまり3週間以内にもとの正常な大腸に回復する一過性型と症状が長引き治癒するまでに2~3ヶ月かかり、血流低下を起こした部分は狭くなったままで治癒する狭窄型。
②腸管に栄養を送る血管が完全に詰まりほとんど血液が流れないため腸管が壊死する壊死型がある。
③虚血性大腸炎の特徴はどのタイプでも突然の強い腹痛が特徴で下血や血便もみられます。時に吐き気やおう吐、発熱をともないます。一過性型のこういった症状は軽くたいていは数日で治ります。
これが1週間以上続く場合は狭窄型になってしまったと考えられます。
血管が完全に詰まる壊死型は一過性型、狭窄型とは症状があきらかに違います。
腹痛が激しく下血、血便、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が一度に現れます。このため腸に穴があき膿が腸全体に広がり腹膜炎を起こしたりさらに菌が全身に感染し敗血症を招くこともあります。
大腸がんと似た症状:薬剤性大腸炎


病気の治療のために投与された抗生物質が原因で大腸炎をおこすことがあります。
大腸の中には「腸内細菌」というたくさんの細菌がすんでいます。「腸内細菌」のなかには「悪玉菌」と「善玉菌」がいて通常は両者は冷戦時代の米ソのようにバランスをたもっています。
そこに抗生物質が投与され、たまたま抗生物質が「善玉菌」のみを殺菌し「悪玉菌」が優勢になると薬剤性大腸炎になります
治療は最初の抗生物質を中止して、「悪玉菌」に有効な抗生物質を投与することです
医師が診断に気づかずに最初の抗生物質を続けていると重症になります。
大腸がんと似た症状:大腸憩室症


大腸や小腸の内壁の粘膜が、腸管の外側に袋状になって出っ張ってしまう病気で、後天性と先天性の場合に分けられます。
一般的にはどちらも無症状である場合は多いので心配ありませんが、袋状の部分に便が詰まり炎症を起こす場合もあります。その炎症がひどくなると潰瘍になり出血を伴うこともあるので、大腸がんのときの血便も見られることがあります。
大腸がんと年齢の関係


病気が発症する割合のことを罹患率と呼び、通常であれば人口10万人に対する数で計算します。さらにそこから大腸がんでは結腸がんと直腸がんに分けて表します。
一般的に大腸がんの罹患率は年齢とともに上昇する傾向にありますが、現在のデータでは結腸がんも直腸がんも60代をピークに多く発症するとなっています。
ちなみに45歳~49歳の男性では10万人に対して30人、50歳~54歳では50人、55歳~59歳で100人と、60歳をピークに徐々に高くなっていることが分かります。
��0歳代から急増する傾向にあり、若年者に発症する頻度は5%~10%ほどとなっています。
若年者に起こる大腸がんは、血縁者などに大腸がんにかかった人がいる場合に発症することが多く、遺伝的な要素を含んでいるようです。

大腸がんと遺伝の関係


がんは遺伝するとされており、大腸がんの遺伝には家族性大腸腺腫症と家族性大腸がんの2種類があります。
それ以外であれば親が大腸がんであっても子供が大腸がんになる可能性は低いということになります。
家族性大腸腺腫症は大腸全体にポリープが何百個も発生した状態で、これだけのポリープを放置しておくと50歳までには必ず大腸がんが発生してしまいます。
この病気は常染色体優勢遺伝という形で、親から子供にその形質が遺伝してしまうので、その父親・母親は大腸がんに罹患している可能性が高いですし、この場合は家系をたどると祖父母までほとんど大腸がんに羅漢しています。
家族性大腸がんの場合も親から子供にその形質が遺伝してしまいます。この大腸がんは一般的な大腸がんに比べて発生年齢が若い、また大腸がんが多発する、大腸がん以外の箇所にがんが発生しやすい、という特徴があります。
これらの特徴が親・兄弟姉妹・子供に見られる場合を遺伝性非ポリポージス大腸がんといい、一般的な遺伝性が認められない大腸がんとして区別しています。
大腸がん自体が遺伝病であることはありませんが、血縁者の中にがんにかかったことのある人が複数いる場合では、そうでない人よりも遺伝子に異常が起こりやすいと考えられます。

大腸がんと肥満の関係


肥満は多くの病気を引き起こす因子となるものですが、大腸がんのリスク因子には痩せすぎも含まれていることが分かっています。
肥満は閉経後の子宮体がんでは確実な危険因子とされており、腎臓がんや乳がんも確実と考えられ、その次に考えられているのが大腸がんというわけです。
男性については大腸がんと肥満に相関関係は見られませんが、女性の場合は大腸がんで死亡する確率が4倍近くに上がることが分かったのです。と同時に痩せすぎの女性も同じような結果が見られました。
肥満も痩せすぎもがん発生の確率を上げてしまう要因になりますが、どれくらいの体重ががんの予防に適しているかは分かっていません。適正体重がどれくらいであるかは別にして、痩せすぎも良くないということです。

大腸がんと飲酒の関係


酒の飲みすぎは体に悪く、多くの症状や病気の原因になります。
酒を飲む量が多ければ多いほど大腸がんの発生率が上がるということは疫学的にも証明されており、日本のお酒を飲む人と飲まない人を調査したところ、お酒を飲む人は飲まない人に比べて大腸がんの発生率が2倍以上になっていたのです。
発生率はお酒の飲む量と比例しており、飲めば飲むほどに高くなること、そして同時に喫煙する人はさらに大腸がんの発生率が高くなっていたのです。
酒の場合は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドという物質が発がんを促すのではないかと考えられています。アセトアルデヒドは悪酔いの原因にもなっている物質のことです。
アルコールのほとんどは腸で吸収されて、そこから肝臓で代謝されアセトアルデヒドとなり、さらに水と炭酸ガスに分解されますが、その過程でアセトアルデヒドが大腸粘膜の細胞を傷つけて、大腸がんの発生を促すのではと考えられています。
またお酒には強い弱いがありますが、お酒に弱い人が飲みすぎるとさらに大腸がんの発生率を高めてしまいます。付き合いがあるとはいえ、お酒が苦手な人は気をつけてください。
そしてお酒は肝臓だけに関わる病気ではなく、大腸がんにもつながります。

大腸がんの予防:野菜


野菜を多く食べる人には大腸がんになりにくいと認められています。
野菜にはフラボノイド・カルテノイド・セレン・葉酸・ポリフェノールなど、多くのがん抑制物質が含まれており、フリーラジカルの生成を抑える抗酸化物質も多く含まれています。
ニンジンやカボチャに含まれるβカロチンは、がんの発生を促進するとされています。逆にαカロチンやリコペンにはがんの発生を抑制すると証明されています。
大腸がんの発生でいうと、極端に野菜を食べない人を見てみると大腸がんが増えるという結果も出ています。また一方で野菜を多く食べたからといって大腸がんを予防できるわけではないということが分かっています。
現代の食生活では野菜が不足しているといっても、まったく食べない人はほどんどいないと思います。したがって野菜は食べすぎずとも適度に食べていれば大腸がんの心配は要りません。
大腸がんの予防:青魚


サバ・アジ・イワシ・サンマなどの青魚が多く含む不飽和脂肪酸には、発がん物質を抑制する作用があるとされています。
フィンランドとは他の国に比べても大腸がんの患者さんが少ないのですが、これは不飽和脂肪酸を多く含む青魚と食物繊維を多く含む海藻などをたくさん食べるからと考えられているからです。
不飽和脂肪酸の中でもラードなど動物性油脂には、大腸がんの発生を促すとされています。このように同じ不飽和脂肪酸でも、魚と肉によっては善玉と悪玉があります。
ドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸は、大腸がんだけでなく動脈硬化や高血圧の予防に効果があるとされています。
魚が大腸がんの発生を抑制するといっても、それに含まれる動物性タンパク質を焼いて焦がすことで、発がん物質が作り出されることも分かっています。
この焦げに含まれる発がん物質は調理時間が長く、また調理温度が高くなるほど量が増えてきます。少量であれば問題ないのですが、なるべく魚だけでなく肉類でも焦がさないよう食べることをおすすめします。
大腸がんの予防:大豆イソフラボン


納豆は大豆製品なので、イソフラボンを大量に含んでいます。
納豆は、発酵することで、いろいろな健康効果があがります。
納豆には、大腸がんを予防する効果があります。それは、納豆に含まれる納豆菌、オリゴ糖、繊維質
の効果です。
納豆菌は大腸の善玉菌を増やす効果があり、オリゴ糖は、善玉菌のえさとなります。
繊維質は、腸内の発がん物質を吸着し、体外に排出するという、整腸作用があります。
納豆に含まれるナットキナーゼは、血液の血栓をとかす血液サラサラ効果があり、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などを予防してくれます。
レタンという成分は、脳細胞を若く保つ効果があり、記憶力をよくしたり、痴呆予防があります。
大腸がんの予防:食物繊維


食物繊維には動物性食物繊維と植物性食物繊維とがあり、それらは成分が消化されずに大腸へとたどり着きます。
この2つの食物繊維のうち便秘の解消に役に立つのは植物性のほうで、水に溶ける水溶性と水に溶けない不溶性とに分けられます。
水溶性はコンニャクや果物や海藻に多く含まれ、これらはコレステロール値や血糖値を下げ、また腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれます。
一方、不溶性は豆類や野菜やキノコ類に多く含まれ、これらは水分を吸収して便のカサを増やしたり、大腸を刺激してぜん動運動を促進してくれたりします。
大腸がんの予防には便を溜めないということは大切なことなので食物繊維を摂るということは重要ですが、現時点では大腸がんの予防は証明されたわけではありません。
しかし食物繊維は大腸がんの予防だけでなく、健康効果をもたらしてくれます。
成人1日に必要な食物繊維はおよそ20gです。
大腸がんの予防:漢方


漢方というのは、中国から伝わった医学を日本人が発展させて独自のものにさせていった医学です。
漢方は身体全体のバランスが崩れると病気にかかってしまうと考え、治療も身体を本来のバランスのとれたあるべき姿に戻して健康にするという考え方をします。
「気」「血」「水」の状態を把握することが大事とされています。気力が充実して血液の流れや栄養に問題なく、汗など血液以外の水分についても問題がなければ健康な状態になると考え、これらのバランスを整えることで健康にするのが漢方治療ということになります。
漢方薬の重要な働きは身体の免疫力を高めることです。
疲れなどが溜まった気力が低下しているときや、栄養不足などで血液中の栄養不足があると免疫が低下し、細菌やウィルスなどの感染症にもかかりやすくなりますし、ガン細胞の発生を食い止める力も弱まりますので発症しやすい状態となります。
漢方薬は薬ですので健康なときに摂るものではありませんが、身体の不調を感じたときには、深刻な不調に陥る前に身体の状態にあった漢方薬を使用することで、本来の免疫力を取り戻すことができます。
ラクトフェリンは自分の免疫力の限界点を高めることが期待できますが、漢方は不調になって低下した免疫力を元の正常な状態に戻すと考えればよいでしょう。
大腸がんの予防:乳酸菌


腸の中にはおよそ100種類で100兆個の細菌が住んでいます。
体に健康効果を促す善玉菌がおよそ40種類、悪玉菌が30種類、悪玉菌が増えると害を及ぼすようになる日和見菌が30種類が含まれます。
善玉菌が多い状態が健康的ということですが、そのためにはヨーグルトなどに含まれる乳酸菌を摂ることが最も手軽な方法です。
乳酸菌を摂ると大腸がんの発生にどのような結果が見られたかというと、乳酸菌を摂る人はわずかですが腺腫が減少しましたが、大腸腺腫の発生率や大きさにはほとんど影響が見られませんでした。
大腸がんの発生を抑制することはできないが、細胞ががん化する進行を抑制する可能性があるということです。
乳酸菌が腸内の発がん物質を吸着させて排泄することや、免疫機能を活性化することが指摘されています。
もう1つの酪酸の増加も大きな原因といわれています。
酪酸とはアポトーシスを促進する物質なのですが、アポトーシスは細胞に悪い変化が起こった場合に働くもので、遺伝子異常を起こした細胞も攻撃することで、これががんの抑制になっているのではと考えられているのです。
大腸がんの場合にも乳酸菌の摂取により増加した酪酸がアポトーシスの作用を促進し、大腸がんの発生を予防する可能性があるとも捉えられます。
大腸がんの予防:葉酸


葉酸とはビタミンBの1種で、果物や緑黄色野菜などに多く含まれています。今この葉酸が大腸がんを予防する物質として注目を集めています。
体内の葉酸のわずかな減少でも大腸がんの発生率を高めることや、葉酸が不足することで大腸腫瘍の発生率が高まるということが証明されています。
葉酸を1日に400μgを摂取する人と、まったく摂取しない人を比較すると、葉酸を摂取した人は摂取していない人よりも大腸腫瘍のリスクが50%近く低かったことが認められています。
大腸がんにも同じような予防効果があり、これは葉酸のサプリメントを10年以上飲み続けた人だけがみられました。つまり葉酸は大腸がんの早期の家庭で作用するのではと考えられています。
葉酸は大腸がんに対する予防で注目されているわけです。がんのメカニズムに関していうと、葉酸は正常な細胞の代謝に作用するビタミンなので、不足すると遺伝子が傷ついたり修復できなくなってしまうからです。
大腸がんを100%予防すると証明されたわけではありませんが、多くのがんを予防するものに比べても、最も副作用がない成分として期待されている成分です。